幻想の豪華客船

 これは、伝染病が世界に流行する前の話し。

 ナスカはお金を貯めて、念願の豪華クルーズ船の一週間の旅に出かけた。10万トンを超える超大型船で、そこでは艶やかで怠惰な生活が待っているはずだった。

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消滅した世界の終わり

 月の無い夜の中、ハゲトは仕事帰りのたんぼ道を歩いていた。街灯は無く、控え目な街の明かりがわずかに視界を与えるだけで、暗闇が広がっていた。夏のべったりとした空気はハゲトの腕に纏わり付き、どろどろとハゲトを歩かせた。
 

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新型コロナウイルス 免疫力より抵抗力

今、世界を危機に陥れている新型コロナウイルス COVID-19 について、自分の考えを書く。
今は個人個人が、今すぐに出来ることをするとき。
 
免疫力:獲得には時間がかかる(薬の開発も時間がかかる)
抵抗力:今すぐできる
 
日頃の抵抗力(体力)を温存して過ごすことが、今すぐに出来ることだと考える。
薬も免疫力もない今、個人個人ができることは、抵抗力を自分の最高水準に維持する努力を。
 
【睡眠時間の確保】 【ストレスの軽減】 【規則正しい生活】
 
感染してしまっても、発症を抑えることができるように。
そのことが、医療崩壊を防ぐことにもつながる。
 
それが、今すぐに個人でできること。
 
感染しない努力を、感染させない努力を。
発症しない努力を。
 
やるだけやってダメだったら仕方ない。
しかし、やるだけはやるべきです。

時のエレベータ

 仕事にヘトヘトになったハゲトは、駅に向かって田んぼ道をトボトボと歩いていた。辺りはもうすっかり暗くなっていた。広がる田んぼの先に、暗闇に浮かぶ駅舎の明かりが見えていた。

 

 近くまで到着したハゲトは、二階にある改札口を見上げた。二階に上がるためには、階段と、もう一つは稼働して何十年になるか分からないエレベータがあった。そしてハゲトは、うす汚れた上向きの矢印ボタンをガチャリと押した。

 

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凡人宣言

 

バカな男がまたバカなことを思い付いた。
 
─ 凡人宣言 ─
 
いや、元々、凡人だった。
 
大哲学者や宗教者にでもなるつもりだったか。
 
歴史に名を残したかったのか?
 
そんな高尚なことを考えても、自分には無理。無駄。
 
自分は凡人。
 
そのことを忘れてはいけない。
 
凡人で何が悪い。
 
凡人でもやれることはある。
 
─ そして、バカを見る人生を。
 
今まで上から目線でバカにしていた凡人ども。
 
それは、自分だ。仲間だ。同類だ。
 
─ 自分は、独りじゃない。
 
みんな、足掻きながら生きている。