1-2:始まりのプラットホーム

 全員が規則正しくそれぞれの列車に乗ってしまったプラットホームで、乗り遅れたナスカは一人、はらはらと泣いていた。“チコク”というこれから貼られるレッテルに身を震わせ、未来の希望は塩味の涙になって流れ落ちていった。
 

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1-1:朝のプラットホーム

「あ〜〜〜!!!」
 
 山々のせせらぎは里の川に下り、無数の川は大河に下る。大河は濁流となって、一つの方向へ激しく流れて行く。
 
 日本中のほとんど全員が同じところに移動しようと濁流となり、朝の鉄道駅は人で溢れかえっていた。不思議と岩や岸に当たって水飛沫を上げることなく、スムーズに、しかし速く流れていた。
 

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朝の叫び 「あ〜」

ハゲト:今朝、かわいそうな小学生の男の子を見たんだ。駅のホームへ下りる階段を「あ〜っ!」と叫びながら走り、必死で出発場際の列車に乗ろうとしてたんだ。
 

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インターネットの深い森

ハゲトは自宅のアパートメントの一室で、することがないことに悩んでいた。
 
ハゲトは、趣味を持っていなかった… インターネットで『趣味』を検索した。
 
世の中には色々な趣味が存在し、それをインターネットの世界に公開している人たちがたくさんいる。
 
… おもしろい。

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白い蝶‐1:記憶の海の島

 

 ナスカは春風の吹く頃、旅に出た。列車を待つプラットフォームで春の匂いを感じ、暖かさを感じ、風がナスカの髪を撫でていた。居るだけで気持ちよく、その心地よさを黙々と味わっていた。

 

 ナスカは島に行くための列車に乗った。しばらくするとトンネルの中に入った。窓の外は暗く、鉄の車輪と鉄のレールがこすれる音がトンネルの壁に響き、車内に激しい音が入り込んできた。

 

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