世界の起点

 

 ナスカは初夏の明るい夕方、空が映り込んでいる水田の間を歩いていた。

 

 アスファルトの黒く硬質な直線が、水田の間をまっすぐに伸びていた。

 

 ナスカの周り一面には、水が張られた何枚もの水田が広がっていた。風はなく水田はピタリと静止していて、昼間と夕方の間の空を寸分の狂い無く映し出している。空の色と、水の色と太陽の光が混ざってそれは、何枚も隙間なく敷き詰められていた。

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