月の無い夜の中、ハゲトは仕事帰りのたんぼ道を歩いていた。街灯は無く、控え目な街の明かりがわずかに視界を与えるだけで、暗闇が広がっていた。夏のべったりとした空気はハゲトの腕に纏わり付き、どろどろとハゲトを歩かせた。
蛙の道
蛙鳴く
蛙の道を
我帰る
螢の道
風ぬける
螢の道を
フラフラと
夜の田んぼ道。
気持ちよくぬける風の中、螢の道をフワフワと浮くように歩いた。
夜の田んぼ道 そのニ
蛙鳴く
蛍燐燐 田んぼ道
かわずなく ほたるりんりん たんぼみち
カエルがゲロゲロとうるさく鳴いているし、蛍も舞っている。なんともにぎやかな、夜の田んぼ道。会社帰り。