ファーストクラスという入れ物

 ハゲトは今、出張帰りで特急列車の中にいる。

 仕事は頑張っているつもりだが、いつも空回りしがちだった。さらにハゲトのある思考パターンが、いつもいらぬことを考えさせ、ハゲトの仕事、ハゲトの人生を邪魔していた。

 混雑しているエコノミークラスの指定席で、疲れた体を沈めているハゲト。ふと、斜め前の席に座る男性が目に入った。ハゲトと同じくビジネスマン風の男性で、座席前の小さなテーブルを開き、そこにバインダー型の手帳、付箋がたくさん貼付けられているメモとノートを広げて、右手にはボールペンが握られていた。

 カリカリとバインダーにメモを取り、考え込み、またノートにもメモを取り、時々スマートフォンで調べ物をしたりしていた。列車の中でも時間を惜しんで、仕事に励んでいるようであった。

 その男性を見て、ハゲトは思う。

続きを読む ファーストクラスという入れ物

全てうまくいくスイッチ

 ハゲトは人生に半分絶望していた。

 

 出世することも、お金持ちになる事もできず、夢を追いながら日々をなんとか生きている状態だった。私生活が特に充実していることもなく、生きているとうまくいかない事が多い、まるで意図的にうまくいかないように仕向けられているようだ、と感じていた。

 

 ハゲトは良く晴れたある日、気分転換をしようと思い立った。海岸の崖の上に、ほんの少し草が生えている場所を見つけて、そこに家から持ってきた座布団を敷いた。

 

 そこに座りこみ、海の向こうを見つめ静かに息を吐き出し、薄目になって自分のココロの中を覗いてみた。

続きを読む 全てうまくいくスイッチ

幻想の豪華客船

 これは、伝染病が世界に流行する前の話し。

 ナスカはお金を貯めて、念願の豪華クルーズ船の一週間の旅に出かけた。10万トンを超える超大型船で、そこでは艶やかで怠惰な生活が待っているはずだった。

続きを読む 幻想の豪華客船

消滅した世界の終わり

 月の無い夜の中、ハゲトは仕事帰りのたんぼ道を歩いていた。街灯は無く、控え目な街の明かりがわずかに視界を与えるだけで、暗闇が広がっていた。夏のべったりとした空気はハゲトの腕に纏わり付き、どろどろとハゲトを歩かせた。
 

続きを読む 消滅した世界の終わり

新型コロナウイルス 免疫力より抵抗力

今、世界を危機に陥れている新型コロナウイルス COVID-19 について、自分の考えを書く。
今は個人個人が、今すぐに出来ることをするとき。
 
免疫力:獲得には時間がかかる(薬の開発も時間がかかる)
抵抗力:今すぐできる
 
日頃の抵抗力(体力)を温存して過ごすことが、今すぐに出来ることだと考える。
薬も免疫力もない今、個人個人ができることは、抵抗力を自分の最高水準に維持する努力を。
 
【睡眠時間の確保】 【ストレスの軽減】 【規則正しい生活】
 
感染してしまっても、発症を抑えることができるように。
そのことが、医療崩壊を防ぐことにもつながる。
 
それが、今すぐに個人でできること。
 
感染しない努力を、感染させない努力を。
発症しない努力を。
 
やるだけやってダメだったら仕方ない。
しかし、やるだけはやるべきです。