夢のクルーズ船

「ヒトは辛いことと無縁で生きられるか」という鉄(考察)が今熱いので、以前に発信した話しを改編して再掲します。

***

【ユメのクルーズ船】

ナスカはお金を貯めて、念願の豪華クルーズ船の一週間の旅に出かけた。10万トンを超える超大型船で、そこでは艶やかで怠惰な生活が待っているはずだった。

毎日フルコースが食べられるいくつものレストラン。

イタリアン、フレンチ、アジアン、ステーキハウス、鉄板焼、寿司など、全ての料理ジャンルが網羅され、毎日極上のグルメが楽しめる。

さらに、全て無料のビュッフェ形式のレストラン、24時間行くことができる軽食コーナー(全て無料)、もちろんコーヒー・紅茶は飲み放題だ。

イメージです

ナスカはその船に、早速乗船した。

きらびやかなエントランスホールでは、たくさんの楽しげな人々で賑わっている。

独りで乗船したナスカでも、全く寂しくなかった。数千人の乗客に加えて、千人以上の乗務員もいるのだから。

さあ、すばらしい自分の個室に荷物を置いて、ラフな服装ででかけよう。

まずは好きなものを好きなだけ食べ、その後は屋上デッキに並ぶデッキチェアでゴロゴロし、お腹が空いたらまた食べよう。

屋上デッキには大きなプールがいくつもある。海に出ると一気に暖かくなるので、プールに浮いて1日中過ごす、なんてのもありだ。

大型船ならではの豪華なホールでは、感動的で豪華な踊りや歌のショーが、連日繰り広げられる。

そして小腹が空くと、軽食コーナーでサンドウィッチやケーキ、ハンバーガーなどを炭酸飲料と一緒に食べた。

夢のような暮らしだ。

今夜もスイーツ片手に、ショーをダラダラ観に行こう。その後は星空のデッキで寝そべってくつろぎ、寒くなったら個室に戻って昼まで寝よう。

***

そして二日後、ナスカはデッキの上で、くつろいでいるフリをしながら、苦しんでいた。

食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足で、体がおかしいのだ。く、苦しい・・・

なぜ食べたいものを食べたいだけ食べたら、体の調子が悪くなるの?

体が欲してるから、食べてるだけじゃないの? 無理して食べてるわけではないわ。なのに、なぜ?

*人間は元来、餓えた状態、厳しい生活にチューニングされているようだ。

※作者はクルーズ船の旅に出たことはありません。全て妄想です。

[ad#co-1]