劣等感の男エヌ, 物語 Storys

劣等感の男エヌは、大きな会社のうだつの上がらない会社員だった。しかし、やるべき事はやるべき事としてやっていた。何事も手を抜かず、いつも最大限にパフォーマンスを発揮出来るように自分を調節していた。そしていつも、プレゼンテーションなどでは ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 ナスカは月の無い暗闇の夜の中、たんぼ道を歩いていた。そこには街灯などは一切無く、控え目な街の明かりは距離を置いて遠くに置かれ、深い暗闇がだだっ広く広がっていた。夏のべったりとした空気はナスカの腕に纏わり付き、重たく生温いプールの中を ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 シマでの二日目。ナスカは海の見えるホテル内のレストランで朝食を摂っていた。そこでは皆、今日一日を楽しむ準備を急いでしているかのように、忙しくビュッフェスタイルの広いレストラン内を動き回っていた。ナスカは一切れのパンと小さなバターのカ ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 ナスカは食事に出掛けることにした。明るいグレーのワンピースに白い薄手のカーディガンを羽織り、小さなハンドバッグを一つ肩に掛けると、ローヒールパンプスを履いて5階にあるレストランへ向かった。美味しいものを食べるという悦びもまた、何かを ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 ナスカは今、青い空と黄色い太陽の真っ只中にいる。足下には透き通る青い海と、海を掬うような白い砂がどこまでも広がっている。遠浅の海の中で、砂浜を形作っている珊瑚の破片が動く音だけが、カラカラと辺りに響いている。砂ではない、珊瑚のカケラ ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 ナスカは今、大型旅客機の最後部にいる。大型旅客機の後部に座席の無い空間がぽっかりと存在することを、ほとんどの乗客は知らない。

 その広い空間で、ナスカのように伸びなどをしてゆっくりと過ごす乗客は、そういないであろう。先ほ ...

ナスカの旅, 物語 Storys

 水が張られた何枚もの水田の中に、小さな道が真っすぐに伸びていた。辺り一面に広がる水田は静かで、何枚もの鏡が並べられているようだった。

 ナスカは会社帰りの初夏の夕方、空が映り込んでる銀の板の上を、黙々と歩いていた。

うまくいかないスイッチ, 物語 Storys

コウタロウは、生き辛さを感じていた。会社の中で出世することも出来ず、だからといって私生活が特に充実していることもなかった。生きていると、うまくいかない事が多過ぎる、まるで、意図的にうまくいかないように仕向けられているようだ、とも感じて ...

今いる場所, 物語 Storys

修三は今、出張の帰りで新幹線の中にいる。会社で頑張ってはいるが、中途半端なポジションにいるという表現が当てはまるような立場にいた。

普通車指定席、通路側の座席を取り、帰路についていた。ふと斜め前の通路側の席を見ると、修三と ...

駅前のカミサマ

もくじ
【1】改札口に立つ老人
【2】大丈夫
【3】次の町へ行かれる

【3】次の町へ

ある晩、その方はいつもの時間に改札口前にはいらっしゃりませんでした。エスカレータを下りていくと、その ...